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遠山谷・在来渓魚を増やす会

 子供の頃から親しんだ遠山川で、昔ながらの魚を思う存分釣りたい。  そんな素朴な願いによって、平成12年に「遠山谷・在来渓魚を増やす会」は発足しました。  二十名の会員が、成魚放流よりも効率の悪い稚魚・発眼卵放流にこだわり、河川清掃や啓蒙活動にもとりくんでいます。
 会長の岸本忠司さんと、事務局長草田和己さん、会員の松下賢さんにお話をうかがいました。
※以下の文章は、草田和己さんを中心に、三人の談話を総合したものです。
 一口にイワナといっても、遠山川に棲むのはヤマトイワナといって、南限に生息する種類です。また、アマゴとヤマメは混同されやすいですが、遠山川に昔から棲んでいるのはヤマメではなく、赤い斑点のあるアマゴの方です。
 また、同じヤマトイワナやアマゴでも、遠山川に棲む魚は、他の川のものと体型が全く違います。日本有数の急流に揉まれているので体の幅が広く、尾びれがとても大きいのです。ですから、かかったときの手ごたえが違う。だからこそ遠山川は全国の釣り師にとって聖地なのです。
遠山郷 在来渓魚を増やす会の写真左から松下賢さん、草田和己さん、岸本忠司さん

 昭和五十八、五十九年の大災害で、渓魚が激減しました。早急に魚数を増やして釣り客のニーズに応えようと、遠山漁協では養殖した成魚を放流しました。
  これらは簡単に釣れる反面、渓流育ちの魚と比べて体格が貧弱で、釣り味が全く違います。これではいけないと感じたのが、会発足の契機です。
 主な活動は、春の稚魚放流と秋の発眼卵放流です。独自の基金で稚魚や卵を買い、漁協と共同で放流しています。法律上、魚の放流は漁協でないと行えません。
  会員のほとんどは漁協組合員ですから、いわば漁協の実動部隊です。
 放流にあわせて河川清掃も行っています。白状すると私自身、かつてはタバコのポイ捨てをしていましたが、今ではとてもできなくなりました。こうした活動は、子供たちにも参加してもらえるようにしていきたいものです。

遠山郷 発眼卵放流の様子の写真発眼卵放流の様子
遠山郷 発眼卵放流の写真発眼卵放流
 ダム建設や砂利採取などで、遠山川は渓魚が棲みにくくなりつつあります。魚にとっては、ダムや堤防などない方がいいのは当然です。けれど私たちも遠山で生きていく以上、防災対策も考えていかねばなりません。
 また、建設関連に勤めている会員もたくさんいます。何も知らない都会の人たちのように、何が何でもダムはなくせ、などという活動はできません。
 最近では国土交通省や建設業者が、工事に先立って漁協に相談・連絡をしてくれるようになりました。ダムや堤防は最小限にとどめる。作る場合は、なるべく生態系に負担のない工法をとる。私たちの活動が、そうした常識を作る助けになればと思います。
遠山郷 梨本堰堤の写真梨本堰堤
 釣り人は、魚から見れば残酷な敵。でも、自然環境の変化に最も敏感なのも釣り人なのです。渓流釣りを心おきなく楽しむためには、いくら釣ってもびくともしないほど、魚が増えてくれなければなりません。
 在来魚が自然増殖できる環境を作るのが最終目的です。私たちの問題意識が地域に浸透してくれれば、この会も、めでたく解散できる日が来るでしょう。
●関連サイト
遠山谷・在来渓魚を増やす会  在来渓魚を増やす会の公式サイト。遠山谷の河川情報や掲示板など。